天皇皇后両陛下はモンゴル訪問についてのご感想を話された
天皇皇后両陛下はモンゴル訪問についてのご感想を話された
モンゴル公式訪問7日目の12日、天皇皇后両陛下はホスタイ国立公園を訪れ、モンゴルでの全ての日程を終えられた。 天皇陛下がホスタイ国立公園で報道陣の取材に応じ、今回の訪問についての感想を話された。
「タヒは割合と近くでも見ることができましたし、何頭も確認することができました。本当にここモンゴルの豊かな自然を強く感じました。他にもマーモットを見ることが出来ました。本当に自然豊かな場所であるということを改めて感じました。今回モンゴル国政府から国賓として、雅子とともにお招きいただき、モンゴル国を訪問することができましたことを大変嬉しく思っております。また行く先々で、多くのモンゴルの国民の皆さんに温かく迎えていただいたことも、大変ありがたく思います。また今回は日本人死亡者慰霊碑への供花を、雅子とともに行うことができましたことも感慨深く思いました。この1週間を振り返ってみますと、モンゴルの豊かな歴史、文化、そしてまた素晴らしい自然に触れることができた1週間だったのではないかと思います。今日の国立公園でも、非常にモンゴルの豊かな美しい自然を目の当たりにすることができましたし、訪れたチンギス・ハーン博物館を始めいくつかの施設で、モンゴルの長い歴史、そして豊かな伝統文化に触れることができたこともとても良かったと思っています。前回訪問した平成19年の時に比べますと、ウランバートルの街なども更に広がっているような印象を持ちましたし、また経済面などでも、以前に比べて何か力強さのようなものを感じ、モンゴルという国がさらに前回に来たときに比べて発展していることを目の当たりにしたように思います。そしてそのような中で、日本の協力に対して、皆さんから大変感謝しているというような言葉をいただいたことが、非常に私も印象に残っておりますし、日本の協力がこのモンゴルの発展のために役に立っているのであれば、それは私達にとっても大変嬉しいことです。それから今回もモンゴルと日本との関係に尽力された様々な年齢層の方とお会いすることができました。それぞれの方がやはり日本に対して、非常に温かい思いを持っていてくださることを嬉しく思いましたし、それから学校などを訪問したときにお会いした学生さん、そしてまたその卒業された皆さんが「自分たちが是非モンゴルと日本との架け橋になりたい」というふうに言ってくださったことも大変嬉しく思った次第です。それからまたお会いした方の中には「自分たちが苦しいときに日本が支援の手を差し伸べてくれました。心から感謝いたします」というような言葉もいただいたことも、私にとっても大変ありがたく思いましたし、そのような形で我が国がこのモンゴル国に対して貢献をすることができているということを目の当たりにしたということもとても嬉しいことでした。戦後モンゴルに抑留された方は約1万4000人おられて、そのうちに不幸にして亡くなられた方が約2000人というふうに伺っております。政府庁舎であるとか、国立オペラ・バレエ劇場などの建設に従事して、非常に厳しい環境にありながら、自分の仕事に力を尽くしてこられたと、モンゴルの国民から尊敬を集めているというふうに聞いております。今回もスフバートル広場を通りながら、もちろん政府庁舎の建物ですとかオペラ・バレエ劇場などを目の当たりにし、そのような歴史に思いを巡らせつつ、心ならずも故郷遠く離れた地で亡くなられた方々を、雅子とともに慰霊して、そしてそのご苦労に思いを致しました。慰霊碑は、丘の中腹にあって、ウランバートルの街を見下ろす場所にあって、そしてその中には日本の方角を示す表示もなされていました。それからまた慰霊碑の管理維持に当たって、モンゴルの赤十字の方々が大変な尽力をされているということも本当にありがたいことと思っております。今回の馬頭琴オーケストラとの演奏は、もちろん前回の時もご一緒いたしましたけれども、今回もモンゴル側からのお誘いによるものです。まずモンゴルの曲、メロディーを演奏いたしましたけれども、これはモンゴルの馬頭琴交響楽団の方から楽譜をいただいて、いくつか候補いただいたんですけれど、そのうちの1曲を選びまして、そして今回ご一緒することにいたしました。 それからもう1曲日本の歌をと思いまして、これは雅子と2人で相談して「浜辺の歌」ということを決めたんですけれども、「浜辺の歌」については以前、馬頭琴交響楽団が日本で公演をしたときにも含まれていましたので、比較的お願いをしやすいのではないかと思いまして、それで「浜辺の歌」をお願いすることにいたしました。音楽というものは人に力を与えるものであると思いますけれども、同時に人と人とを結ぶものでもあるのではないかと思います。もちろん私の演奏がそういうモンゴルで亡くなられた方々のところに、どこかに響けば、それはもう大変嬉しいことです。以前は私、単独(たんどく)で訪問しまして、そのときのことを雅子にもいろいろ話をしましたけれども、今回実際に二人で訪問して、雅子もある部分では私が以前に見たものと同じものを見ているわけですけれども、また新しくなったモンゴルの姿というものを目の当たりにすることができたと思いますし、またモンゴルの伝統、モンゴルの歴史、伝統文化、自然そういったものについて、二人で今度はそれを見ることができたということがとても嬉しかったということです。愛子も小さい頃からの相撲に興味を持っておりましたし、相撲を通して、モンゴルという国に親しみを持っていたんではないかと思います。それ以外の面も含めて、いろんな話を愛子にすることができればというふうに思っております。今回も若い方々と、学校ですとかいろんな場所でお会いいたしましたけれども、そういった若い人たちが日本に関心を持って、しかも非常に高い志を持ってそれぞれの勉学に励んで、さらに今後日本に対して理解を深めていただくことが出来ればというふうに強く思っております。」と述べた。
天皇皇后両陛下は7月6日からモンゴルに滞在し、国賓として歓迎式典やフレルスフ大統領夫妻との懇談、歓迎の晩さん会に臨まれた。さらに、第二次世界大戦後、モンゴルに抑留され亡くなった日本人の慰霊碑に供花したほか、現地の学校視察なども行われた。また、11日はモンゴルの国民的祭典「ナーダム」の開会式に出席し、弓の競技などを観戦されました。12日は競馬競技を観戦した後、ホスタイ国立公園で野生の馬「タヒ」をご覧になっている。
国賓としてモンゴルを訪問した両陛下は帰国してから、訪問の感想について、「この度、モンゴル国から国賓として御招待を頂き、二人で同国を訪問できたことをうれしく思います。フレルスフ大統領御夫妻には、歓迎式典や晩餐会(ばんさんかい)など、心をこめて御準備くださり、また、ナーダムの開会式をはじめ弓射やシャガイ、競馬など様々な競技を御一緒頂き、素晴らしいおもてなしを頂いたことに深く御礼を申し上げます。また、行く先々でモンゴルの方々に温かく迎えて頂いたことは、うれしく、有り難いことでした。今回、歓迎式典や晩餐会、ナーダムの開会式や競技を通じ、また、ガンダン寺やホスタイ国立公園などを訪れ、モンゴルの豊かな歴史・文化や素晴らしい大自然を肌で感じることができました。日本の様々な支援・協力が発展の一助となっていることを、モンゴル日本病院やガチョールト水源などを訪れて実感することができたこともうれしく思います。日本とモンゴルの交流に様々な形で携ってきた幅広い年代の方々に直接お会いしてお話しする中で、両国の友好親善関係が人々の交流を通じて深まってきたことや、モンゴルの人々が日本に対して温かい気持ちを寄せて頂いていることを実感し、うれしく思いました。ウランバートル市第149番学校、モンゴルコーセン技術カレッジなどにおいて、モンゴルの若い人々や子どもたちと交流することもできました。日本人死亡者慰霊碑に供花し、心ならずも故郷を離れた地で亡くなった方々を慰霊し、その御苦労に思いを致しました。また、モンゴル赤十字社の方々などが慰霊陣を大切に維持管理して頂いていることを有り難く思いました。今回、初めて二人でモンゴルを訪れ、とても思い出深い訪問となりました。この訪間を準備して頂いた日本とモンゴル双方の多くの関係者の皆さんの尽力に深く感謝いたします。この度の訪問により、両国の国民の相互理解が更に深まり、日本とモンゴルの友好親善と協力関係がより一層進展することを心から願っています。」と心情を明かされた。
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