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伝統的な家「ゲル」という住まいについて


Guatsetseg 2016-02-25 08:02

伝統的な家「ゲル」という住まいについて

 201312月、アゼルバイジャンの首都バクー市で開かれた第8回無形文化遺産保護条約の政府間委員会で、モンゴルの書道やモンゴルゲルの伝統的な作り方、組み立て方が無形遺産に登録された。

 世界の多くの国に、それぞれ伝統的な家がある。それぞれの家は、その国の習慣と季節に適した構造形態になっている。モンゴルの気候はとても厳しい。一年間の最低気温と最高気温の差は80度にもなる。また、モンゴル人は移動生活を営む。そんな環境の中モンゴルの伝統的な家はゲルと呼ばれる。

モンゴルゲルの基本となる形や組み立てなどについて紹介しよう。ゲルは、清らかな水や、美味しい草を探しながら移動する遊牧民にとって、一番便利な住まいだ。移動する際、容易にたたんだり組み立てたりできるゲルは、数千年にわたる遊牧民の生活の中から生まれ、時代の流れとともに改良されてきた。ゲルの材料は、木材や家畜からとれた毛皮やフェルトだ。例えば、細い木で屋根や壁を作り、外側をフェルトで覆う。ゲルに使われる木材は少ないが、換気性が高く衛生的なため、今でもこの形が残っている。ゲルの壁は、木を蛇腹に組んで結合部をピンで止めて骨組みを作っている。この骨組みをいくつもつないで、丸いゲルの形を作るのだ。ゲルの大きさは、骨組みの数によって決まる。骨組みの大きさや数を変えることで、様々なサイズのゲルを建てることができる。

また、ゲルの内部には、2本の柱が中心に建てられており、そこに円形の天窓を形作る木枠が固定されている。この部分から細い木でできた梁が放射状に壁の骨組みに渡され、ラクダの腱で固定される。これに羊の毛で作ったフェルトをかぶせれば、屋根と壁の完成だ。秋になると、フェルトを二重張りにするなどして防寒する。夏の暑い日は、フェルトのすその部分をめぐることで風通しを良くすることができる。フェルトで覆われたゲルは、雨が一日中降り続いても雨漏りせず、また、早く乾燥する。昔は、ゲルのドアもフェルトで作られていた。フェルト製品は熱の発散を防ぎ、風通しもよく、湿気も吸うのだ。

 ドアがある正面が南向きになるようにゲルは建てられ、西側が男性の居住空間、東側が女性の居住空間になる。西側には、鞍と弓矢、主人のベッド、馬乳酒を作る皮の袋などが置かれる。東側には、奥さんのベッド、乳搾り用のバケツ、食器棚などがある。中央にストーブを兼ねた炉を置き、料理をする。炉は女性の側から扱いやすいように東向きに置かれている。入口の正面はもっとも神聖な場所で、チベット仏教の仏壇など宗教関係のものが置かれる。天井は換気や彩光に便利な開閉式の天窓になっており、ストーブの煙突を出すこともできる。

 モンゴル帝国の時代までは、ゲルに車輪をつけ、馬を使って長距離を移動していたことが、当時の旅行記の記録から判明している。現在はそれほど大規模な移動は行われないため、移動のたびにゲルを分解し、ラクダの背やトラックに載せて運ぶ。分解や組み立ては、ともに遊牧を行う数家族の男たちが総出で行い、数十分から一時間程度で終了する。

 大雨が降る前には、ゲルの後ろに鍋を下向きに置く。こうしておくことで、雨水が鍋に当たって左右に分かれ、ゲルの中にたくさんの雨水が侵入するのを防ぐのだ。また、強風のときは、ゲルの屋根と壁を結ぶ「ウニ」という細長い木を一本、風上に設置する。風の流れを左右に分断するためだ。

 ゲルの中は、火をつけたらすぐに暖かくなり、長い時間温度を保つことができる。これは物理学的にも合理的だと証明されており、ゲルより保温性に優れた住まいはないと言われている。

 フェルトでできた壁は、1時間に500回換気できる。そのため、モンゴル人は湿気で病気になることはなかった。壁や屋根を覆うフェルト、骨組みの木はゲルを湿気から防ぐ上で重要な役割を果たしている。また、羊の毛でできたフェルトには油が含まれているため、外から湿気が侵入することもない。木やフェルトなど人間の体に良い自然なもので構成されたゲルは、地球と同じく丸い形をしており、角に悪いエネルギーが溜まることもない。また、モンゴル人は磁極の向きに眠るため、ゲルの中でもよく休め、ストレスがかかることもない。

 モンゴル人は、天窓から入る太陽の光で時間を知り、生活してきた。天窓から入る光がゲルの中でそのまま日時計になるのだ。家畜を放牧させたり乳搾りをしたりするすべての時間を、ゲルに入る太陽の光で確かめていた。ゲルにフェルトを使うもう一つの意義は、解毒作用だ。牛の糞の煙で黄色くなったフェルトには鉄分がたくさん蓄えられており、毒を打ち消すことができる。そのため、モンゴル人は昔から、黄色くなったフェルトを健康のために使ってきた。

 紀元前10世紀から3世紀の石碑に、ゲルが記されているものがある。その頃から16世紀までの間に、ゲルは6回も形を変え、改良されてきた。現在のゲルは16世紀に生まれたゲルとほとんど同じである。

 

 

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